昨今、働き方改革やDX推進といった言葉がよく聞かれるようになりました。
その背景には少子高齢化による働き手の不足やグローバル化による市場競争の激化などがあります。
みなさんの中にも「人手不足で毎日忙しい!」「一人で複数の製造現場を監理しており大変!」という悩みを抱えている方がいるのではないでしょうか?
・製造業におけるDXとはなにか
・DXが必要な理由と効果
・DX推進におすすめのツール5選と具体事例
私の職場でもDX推進は積極的に行っており、今回紹介するおすすめツールも職場で実際に活用した結果、業務効率化と品質向上が図れたものを厳選しました。
ツール活用の具体事例も紹介しますので是非ご覧ください。
目次
1.製造業におけるDXとは?
DXは「デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)」の略です。
また、経済産業省は、2018年12月に発表した「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)Ver. 1.0」において、DXを下記のように定義しています。
【DXとは】
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
製造業でのDXとしては以下の様な例があります。
例①:設備の稼働状態や生産数、人の動きなど製造に関わる情報をデータ化し、分析することで稼働率向上や生産ロス削減に繋げる
例②:ベテラン職人などが培ってきた個人のノウハウをデータ化し、分析することで定量的な品質管理を行い生産性向上に繋げる

2.製造業におけるDXの必要性
企業においてDX推進は、デジタル技術活用により生産性・業務効率向上を行い、競争力の維持・獲得・強化を果たすことが目的です。
DXを推進しなければいけない理由としては、レガシーシステムによる「2025年の崖」があります。
2018年に経済産業省が公表した「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」にて、「DXが進まなければ2025年以降、最大で年間12兆円の経済損失が生じる可能性が高い」という旨の警告をされたのが「2025年の崖」です。
12兆円もの経済損失という数字は、当時の日本社会に大きなインパクトを与え、これを回避するためのDX化が早急の課題であるとの認識を広めました。
もちろん、製造業においてもDXを推進しなければ慢性的な人手不足と競争力低下により、事業継続が困難になることが予想されます。

3.製造業におけるDXの効果
製造業におけるDXには以下の様な効果が期待できます。
・生産性の向上
・品質の向上
・業務効率化(残業削減)
・コスト削減
・機械化による安全性の向上
DXはデジタル技術を活用し、これまで人が行っていた作業を機械化するため、生産性/品質の向上が図れます。
また、機械化することでヒューマンエラーが削減され安全性向上が図れます。
結果として、業務効率化とコスト削減に貢献します。
DXを推進するのは大変ですが、得られる成果は非常に大きいものになります。
4.DX推進の流れ
DXの推進は大きく分けて「業務整理」⇒「データ集約」⇒「データ分析」⇒「業務カイゼン」の流れで行います。
この中で最も重要なステップが「データ分析」と「業務カイゼン」です。

DX推進について⇩の記事で紹介しています。
5.DX推進におすすめのツール5選
製造業のDX推進におすすめのツール5選について具体事例を交えて紹介します。
おすすめ①_ドローン
現在のドローン技術では、決められたルートを飛行する「自動飛行」、複数台を同時展開する「連帯飛行」などの技術があり、人が直接操作しなくても活用することができます。
また、AI画像診断技術を活用することで、ドローンで撮影した写真を元にAIが自動で異常有無を判定することもできます。
これを踏まえて、製造業でのドローン活用としては以下の具体事例が考えられます。
【ドローン活用の具体事例】
・自動飛行によるパトロール業務への活用(特に高所等危険個所)
・設備の外観点検へのドローン活用&AI画像診断による自動解析
・自動飛行ドローンによる倉庫内の在庫撮影&AI画像診断による在庫有無確認


パトロール業務をドローンにて自動化し、かつ採取した画像をAIの画像診断技術を活用することで、今までアナログだった業務がデジタル化されるだけでなく、得られたデータが分析に活用できるようになりDX推進へ繋がります。
【ドローン活用効果】
・パトロール等の業務を大幅に削減可能
・点検場所に人が行かなくていいので安全性向上(特に高所等危険個所)
・災害や事故時などで活用することにより、迅速な状況把握が可能
・業務がデジタル化されるため、データ分析による新たな価値創造が可能
⇩ブログで紹介していますのであわせてご覧ください。
おすすめ②_タスク管理ツール
みなさんはチーム内のタスク(業務分担)をどのように共有・管理していますか?
製造業においてもそれぞれの役割を果たして初めて一つのものが出来上がります。
ほとんどの仕事が複数人で行うため、タスクの管理手段として会議やメール等を活用しています。
タスク管理は必要ですが、あくまで確認行為であり生産性がありません。
タスク管理を効率的に行うことで、業務全体の効率化を図ることができます。
そんなムダを解消するのに、チームのタスク管理ツールの活用を提案します。
【タスク管理ツール活用の具体事例】
・タスク管理ツールを活用し、他チームの進捗をリアルタイムで共有することで会議を無くす
・業務の依頼をタスク管理ツールで行うことで、依頼メールを無くす
・タスク管理ツールで業務依頼や完了記録を残すことで「言った言わない」問題を無くす


【タスク管理ツール活用の効果】
・予定共有時間を大幅に削減可能
・目標設定や変更なども容易に行うことができるため、変更忘れ防止にも繋がる
・アラーム機能を使えば、タスク忘れ防止になる
おすすめ③_RPA
RPAとは「Robotic Process Automation」の略語で、パソコンで行っている事務作業を自動化できるソフトウェアロボット技術のことです。
今の時代、ほとんどの産業でパソコンが使用されています。
製造業においても、発注や精算、ものの設計や工程管理など全てパソコンで行っています。
パソコンで行う業務には、ルーティーン的な決まった業務が多くあります。
RPAを活用すればそんな業務はやらなくてよくなり、クリエイティブな仕事に集中することができます。
エクセルのVBA(マクロ)やGoogle App Script でも自動化できますが、それらは対象のシステムがエクセルなどに限定されます。
RPAはパソコン上で行う作業であれば、ほとんどのシステムやアプリケーションを自動化することができるので人間と同じ成果を生むことができます。
【RPA活用の具体事例】
・定期的な周知メールの自動送信
・発注/精算予定や結果の自動集計
・労務管理記録のデータ集約/集計


【RPA活用の効果】
・パソコン業務を大幅に削減可能
・クリエイティブな仕事に集中でき、企業価値向上に繋がる
⇩RPAについて詳しくはこちらをご覧ください。

おすすめ④_議事録作成AI
どの会社でも会議は行われていると思います。
会議をすると必ずと言っていいほど発生する業務が「議事録」です。
特に後で見ない議事録ほど意味のないものはありません。
議事録は本来、方針決定のエビデンスとして記録します。
しかし、情報共有のみの会議でも「とりあえず議事録よろしく!」と言われた経験のある方も多いのではないでしょうか?
そんなムダの多い議事録作成ですが、議事録作成AIの活用を提案します。
【議事録作成AI活用の具体事例】
・定例の会議で議事録作成AIを活用し、議事録作成時間を短縮
・方針検討の会議で議事録作成AIを活用し、だれが何を言ったのかを正確に記録することで「言った言わない」問題を解消


【議事録作成AI活用の効果】
・議事録作成時間を大幅に削減可能
・AIが自動で議事録を作成するため、記録漏れがない
・議事録作成者も集中して会議に参加可能
おすすめ⑤_ビジネスチャット
仕事での連絡手段としては主にメールや会議があると思います。
メールを送る祭、毎回宛先設定や定型文(挨拶等)を記載したり、めんどくさいと思ったことはないでしょうか?
会議をする際、参加者が空いている日を日程調整したり議事録を作成したり、めんどくさいと思ったことはないでしょうか?
本来の目的は情報を共有したり、仕事を依頼したりするための行動であり、挨拶や日程調整には付加価値がないムダな作業です。
そんなムダを解消するツールとしてビジネスチャットの活用を提案します。
【ビジネスチャット活用の具体事例】
・各作業の進捗状況確認にビジネスチャットを活用し、タイムリーに状況確認を行う
・ビジネスチャット活用により関係者間のやり取りが集約されるため、後からでも状況把握がしやすい


【ビジネスチャット活用の効果】
・情報共有時間を大幅に削減可能
・業務の進捗状況の可視化ができる
・ファイル共有が容易
・検索性に優れている
まとめ
DX化を行うことは、業務効率化だけでなく品質・安全・生産性向上に繋がります。
これからの競争社会を生き抜くためには、DX推進は欠かせません。
DX推進をより効果的に行うためには業務カイゼンをする必要があります。
まずは今あるムダをなくしてからDX化することで、さらなる生産性向上が期待できます。
⇩こちらで詳しく紹介していますのであわせてご覧ください。
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